屋敷分の庚申塔

屋敷分の庚申塔

暦の上で六十日ごとに回ってくる庚申の日の晩 講中が集まり夜更かしをする習俗がかつてありました。人の体に三尸という虫がいて、眠ったすきに体を抜け出し天帝に人の罪を告げてしまうので、寝ないで夜を明かすのです。この「庚申待」という行事は、中国から伝わってきたもので、江戸時代には民間信仰として広まり その供養のための庚申塔が数多く造立されました。みな村内安全や五穀豊穣を祈ったものです。

この庚申塔は屋敷分村(現・府中市美好町三丁目)の人たちが、延宝二年(1674)二月に建てました。市内で最も古い庚申塔で、本尊の青面金剛像と三猿が彫られています。昭和四十六年に府中市立郷土館、昭和六十二年には府中市郷土の森博物館に移され、数多くの人々に親しまれてきましたが、平成十三年五月に浅間神社境内が整備されるに及び、もとの場所に戻されました。旧・屋敷分村の人たちの絆の証としてこれからはいつまでも、地域の安全と発展を見守ってくれるに違いありません。

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