2002年2月11日(月)

勝光院

東京都世田谷区桜1-26-35

勝光院山門

建武2年(1335)に初代世田谷城主・吉良治家が開いたといわれる勝光院は吉良氏の菩提寺だ。

梵鐘としだれ梅

吉良氏は清和源氏・将軍足利家に連なる由緒ある家柄で、三河国幡豆郡吉良庄を出身とする。天正18年(1590)の小田原落城によって後北条氏の後ろ盾を失うまで、世田谷の殿様としてこの地にあった。忠臣蔵で討たれた吉良氏と区別するために世田谷吉良氏とも呼ばれている。

創建時の名前を現在の「勝光院」として中興したのが、最後の殿様となった氏朝であったとは皮肉な感じがする。氏朝の子・頼久は江戸に入府した家康の家臣となり、天正19年(1591)に上総国長柄郡寺崎村に1125石の領地を与えられて蒔田と改姓したという。

境内には元禄11年(1698)に寄進されたと伝わる世田谷区内で2番目に古い梵鐘がある。太平洋戦争の時に供出されたが、鋳潰されることなく無事に戻ってきた。

住宅地の中程に静かに佇むお寺を訪れると、山門の右手に青々と広がる竹林が、ささやくような風の音を聞かせてくれる。「いろんな事があったね」と聞いてもボブ・ディランを気取って“The answer is blowin' in the wind.”と言っているかのように。

しだれ梅がきれいに咲いていた。

(説明板)  勝光院 | 梵鐘 | 吉良家墓所