橘屋一家功労碑
東京都調布市調布ヶ丘1-8-1(布田天神社)
露天商(香具師、テキ屋)の元締め一家というと、素人目には怪しい集団に見えてしまう。別に悪気はないけれど、ちょっと表舞台には出せない感じがする。そんな「一家」の功労を称える碑が布田天神の境内に建っている。
テキ屋といって思い浮かぶのは、「男はつらいよ(フーテンの寅さん)」シリーズ(山田洋次監督:1969〜1995)で渥美清が演じる寅さんだ。映画の寅さんは取るに足らないようなモノを売って結構気楽にやっているように見えるが、実際はいろいろな掟やしきたりがあってそんなに甘いものではないらしい。出店者も決まっていて、ふらりと現れた寅さんが商売をやらせてもらうのは難しそうだ。
布田天神では今でも毎月25日に市(天神市)が立つ。碑文にもあるとおり露天商が公認の身分となったのは、江戸時代中頃享保年間のことであった。もちろん昔から綿アメや焼きそばを売っていた訳ではなく、鍋釜や衣類、あるいは鋤や鍬などの農機具など生活に密着した品々を扱って、実に200年以上の永きにわたって布田宿の繁栄と人々の暮らしを支えてきたのだ。
「怪しい集団」などと、失礼なことを言ってしまった。