2004年4月11日(日)

滝山城跡

東京都八王子市高月町2371

山桜

滝山街道から離れ、武田軍二万の兵を退けたというのもうなずける急坂を登って行くとふいにあたりが静かになった。葉を落した木々ばかりの色数の少ない山道で一人になって、なんだか心細くなる。

こんな時、ヨーロッパの伝説や童話では森の奥深くに棲む妖精たちがよく登場する。暗い森のなかに迷い込んだ人が可憐なエルフやちょっと不気味なトロルに導かれてたどり着くのは、決ってそこだけ光が当ったような美しい泉のほとりの花園だ。

タンポポ

この山でも、尾根道の下に色鮮やかに絵の具で彩色されたような草原を見つけた。タンポポの黄色い花が一面に広がり、緑の絨毯に金の粉をまいたようだ。何組かのグループがお弁当を広げている。

林の中にあるのにどこからか光が射込んで明るくなった草原に桜の花びらが舞散っている。その様子は花畑で妖精たちが遊び戯れているように見えた。

桜は盛りを過ぎてしまったけれど、遅れてきた花見客たちは言葉を失って静かに妖精たちを見守っていた。

(参考)2004年の東京の桜開花宣言は、3月18日でした。

城跡の説明版