たこ公園/調布駅南口広場
東京都調布市小島町2-50
住宅街にない児童公園というのは、たいてい寂れているか浮浪者の溜り場になって状態があまりよろしくないものだが、京王線調布駅南口前の公園からは子供たちの歓声が絶えることがない。正式名称の「調布駅前公園」を知る人は少なく、片隅に置かれたタコの滑り台にあやかって、誰もが「たこ公園」と呼んでいる。
おとなのつまらない買物につきあわされた子供や、隣接するグリーンホールでのかしこまったコンサートなどで窮屈な思いをした腕白たちが、その鬱憤を晴らすべく「そんなに元気に遊ばなくてもいいのに」と思わせるぐらい活発に跳回っている様子は見ていてほほえましい。若いお母さんたちも傍らのベンチでおしゃべりに余念がない。
公園を含む南口広場は、数年前にバスターミナルが出来て一部縮小されたとはいえ、車や物売りの喧噪と一線を画した、ほかにはない珍しい空間だ。イベントの時には右の写真のようにごった返して、駅への道を急ぐ人には迷惑かもしれないが、商店街に囲まれていないので純粋に市民のコミュニケーションの場となれる。今日の「親子まつり」のほかにも、フリーマーケットや農業まつりなど、ほのぼのしたイベントで年中賑わっている。
京王線地下化にともなって南北をつなぐ開発計画が検討されているが、このゆとり空間を生かす案を採用してもらいたいものだ。また、市民としても放置自転車などでせっかくの空間を駄目にしないよう心がけていきたい。
※ たこ公園は、2016年9月30日をもって再開発のため惜しまれながら閉園しました。
※ 2020年4月、地下化された京王相模原線の跡地に整備された公園に、タコの滑り台がリニューアルして再建されました