江戸東京たてもの園
東京都小金井市桜町3-7-1
世田谷の住宅街など、緑豊かな豪邸や意匠を凝らした個性的な住宅が並んでいる街を走っていると、ついきょろきょろと脇見運転をして危ない目にあったりする。中をのぞいてみたいし、写真も撮りたいのだが個人宅なのでそういうわけにもいかず、気になる家のまわりを怪しい人一歩手前の状態でうろうろするのはちょっと気まずい。
その点、小金井公園内にある江戸東京たてもの園では古墳時代の昔からつい最近の住宅や商店まで、庶民の家からお金持ちの家まで、様々なお宅におじゃまできるのが楽しい。映画「千と千尋の神隠し(監督:宮崎駿、2001)」のモデルになった子宝の湯を中心に広がる下町商店街が充実していて人気も高いようだが、わたしは田園調布の家や前川國男邸のならぶ西ゾーンが好きだ。
近代建築家・堀口捨己の実質的な処女作と言われる小出邸は、建築誌などによく紹介される紫烟荘を彷彿とさせる姿で、ディ・ステイルの影響を受けた幾何学的な空間処理が美しい。はす向かいの三井八郎右衞門邸は、我々には縁のないお金持ちのお宅におじゃまできるのがうれしい。巴の形をした手水鉢がおもしろかった。
建物ではないけれど、明治・大正時代に丸の内で時を知らせた大砲も展示されている。正午に「ドン」と午砲を撃ったことから、お昼のことをドンと言うようになったと言う。このことから昼で仕事を切り上げることを「半ドン」と言うようになったと聞いたことがあったが、それは誤りらしい。オランダ語のゾンダッハ(zondag日曜日)をなまってドンタクと言ったことから、半分休みなので半ドンと言うというのが正しいようだ。
どの家にも親切な解説員がいるので、いろいろ教えてもらおう。
※ (2015/01/28)右の写真を入れ替えました