2004年9月18日(土)

トロッコ道

東京都調布市国領町4-4

トロッコ道

「トロッコ」と聞くと、たとえば黒部峡谷鉄道などの観光地にある無蓋列車を思い浮かべる。爽やかな山の風に吹かれてコトコトと風光明媚な峡谷を走っていくのは気持ちがいい。

もう一つ「トロッコ」から連想するのは、芥川龍之介の同名の掌編だ。主人公の少年が乗ったのは鉄道工事の資材を運ぶ動力のない貨車で、登りは手で押し、下りは軽快に線路を滑り降りた。

三中通り

昔、調布に走っていたトロッコは多摩川の砂利を京王線の国領駅まで運ぶもので、観光気分の楽しさも、坂道を走り降りる軽快さもなく、ポコポコと馬が引いていたそうだ。敷設されていたのは大正13年(1924)〜昭和2年(1927)の間で、その軌道跡は、府中用水と多摩川の合流点から北へ延びる三中通り(写真右)と、品川道から北は調布第二小学校の東側を通って国領駅の南側に出る道(写真左)として残っている。

国領駅の西側には、わたしが子どもの頃まで砂利置き場があり、その中を通り抜けていく道があった。殺伐とした砂利山の間を縫っていくとき、表の商店街のにぎやかさとのギャップに、いつも不思議な気分を感じていたのを思い出す。今ではその跡地に砂利山そっくりな山形のビル(プラザパレット)が建っている。