椿地蔵
東京都調布市布田6-41
深大寺からまっすぐ多摩川へと南へ下って行く道が品川道と交わる交差点には「椿地蔵」と言う名前が付いている。交差点西南の角に咲くシロハナヤブツバキの傍らで、お地蔵様が道行く人たちの安全を見守っている(享保二十年(1735)造立)。
シロハナヤブツバキを関東地方で見ることは珍しく、しかも樹齢が7〜800年と言うことで調布市指定の天然記念物に指定されているが、株から5本に分かれた内の3本が品川道を通る車の排気ガスで枯れてしまいさみしくなってしまった。
ここから北北西へ細い道を入っていくといいにおいがしてくる。「マザー牧場のにおい」と言った子供がいた。牛を飼っている農家があるのだ。最近住宅が建て込んできたので高い塀が作られてしまったが、以前は垣根のすき間から何頭かの泰然とした姿を見ることが出来た。
いまでもこの道を通ると、「そんなに急いでどこに行くのかな、モー」とでも言いたげにこちらを見ている彼らの顔が見えるようで、少し心にさざ波がたつ気持ちがする。