野山北公園自転車道
東京都武蔵村山市本町5-21(武蔵村山市立歴史民俗資料館)
小さなトンネルにはいるとひんやりと気持ちのいい空気に包まれる。炎天下でかいてきた汗が一気に冷えて、一瞬身震いするほどだ。
多摩川の羽村から、途中、米軍横田基地に分断されながら東へまっすぐ延びる道は、青梅街道に交差したところから東北東へまがって多摩湖(村山貯水池)を目指す。進路を変えたところから先に横田トンネル、赤堀トンネル、御岳トンネル、赤坂トンネルと小さなトンネルが続いている。
この道は、大正10年(1921)に当時の東京市が貯水池への導水管の敷設工事のために敷いた軽便鉄道・羽村−山口線の跡だ。わずか3年で役目を終えたが、昭和3〜6年(1928〜31)と18〜9年(1943〜4)に山口貯水池の堤防工事の砂利を運ぶために短期間の復活をした後、羽村大堰から村山・山口貯水池までの総延長7.5kmが完全に廃線となった。
横田トンネルの入り口に近い武蔵村山市立歴史民俗資料館で当時の写真などを見ることができる。
西側の横田トンネルの手前では住宅地だったのが、3番目の御岳トンネルの出口付近は緑の森になっていてビックリする。自転車道は、その先の少し住宅が見えたところを左にまがって多摩湖自転車道につながっているのだが、案内がはっきりしない。まっすぐに進んで赤坂トンネルを抜けると、何もない森の真ん中に放り出されて道が切れ途方に暮れる。かすかなけものみちを辿っていくと最後のトンネルが見えるが、入り口はふさがれていて先に進むことはできない。
どうしたものかと途切れた舗装道路の端まで戻って見ると、「武蔵村山市中藤二丁目46」と書かれた住所表示の看板が、誰のためかもわからず場違いに立っていた。