鑓水
東京都八王子市鑓水989-2 (絹の道資料館)
多摩ニュータウンの北縁を通る大栗川の源流には、鑓水という特徴的な地名がついている。この地域で山肌から湧き出る水を汲むために、左の写真のように竹をやり状に切ったものを刺して使ったことからその名がついたという。
すぐ近くまでニュータウンの開発が迫り、野猿街道や八王子バイパスに囲まれていながら、真空地帯のように静かな山里の風景が広がっている。
ここは、幕末から明治にかけて、横浜から輸出する生糸の仲買に活躍した鑓水商人の村として知られている。横浜線が開通するまで、ここを通る絹の道は、多摩西部の農家がつくる生糸を横浜港へ運ぶ交易ルートとして栄えたらしい。養蚕農家の家屋(小泉家屋敷)が、今も現役で残っている。
鑓水商人がどのくらいの財力を持っていたかは、諏訪神社に合祀されている子の権現ほかの本殿建築の装飾の豪華さに見て取ることができる。しかし、彼らの栄華はそう長いものではなかったようだ。
詳しくは絹の道資料館を訪ねてみよう。
遠く南の方に目をやるとオレンジ色のニュータウンが別世界のように見える。