千鳥ヶ淵高射機関砲台座跡
東京都千代田区北の丸公園（代官町通り沿い）
身動きできない程の花見客でにぎわう千鳥ヶ淵緑道を離れ、淵の南側を走る代官町通りに沿った土手に上がる。
千鳥ヶ淵の全景を望む好適地だが人の出は緑道の半分以下で、人混みに疲れた人たちが三々五々丸い大きな石のベンチに座って一息ついている。
何気なく腰を下ろしているベンチだが、これは第二次大戦中に皇居を護るために据えられた高射機関砲の台座の跡なのだ。台座は7基が残っているが、その大きさからすれば、高々度を飛ぶB29には歯が立たなかったろうと推測される。
特に説明板のようなものもなく、誰もベンチの出自を気にしている様子はない。北の丸公園一帯は陸軍近衛師団の跡地で、戦後に森林公園として整備されたのだが、それを知る人もどのくらいいるのだろうか。
戦後は着実に風化していくのだ。