「からたちの花」発祥の地
東京都豊島区南大塚1-13-8(巣鴨教会)
からたちの花の記憶がない。北原白秋の詩によれば、「白い白い花」であるはずなのだが。
からたちの思い出は、あの太くて長い棘のことばかりだ。白秋は「青い青い針の棘だよ」と歌っている。その棘を上手に避けて、アゲハの幼虫がからたちの葉を食べていた。その柔らかい体に、いつあの棘が刺さってしまわないかと、子供心にはらはらと胸を詰らせながら、アオムシの一挙手一投足を見つめていた。
北原白秋の詩に山田耕筰が曲を付けた「からたちの花」の歌碑が、巣鴨教会の一角に建っている。耕筰は少年時代を、自営館という働きながら学ぶ苦学生を支援する寄宿舎で過している。「からたちの花」は、その時の思い出を歌にしたものだそうだ。その自営館も今はなく、その跡地には巣鴨教会が建っている。