牛魂碑（多摩酪農発祥の地）
東京都八王子市下柚木4（永林寺）
八王子の柚木は昔は由木村といった。小学校などの名前にも“由木”が残っているのに、木偏がついたのはなぜだろう。
その由木村は明治時代から酪農が盛んであった。それは、井草甫三郎という人が明治二十五年（1892）に牛一頭から始めたもので、当時盛んだった養蚕で蚕が食べ残した桑の葉を牛に食べさせ、乳をとると共に牛糞を肥しにして田畑を耕すという総合的な農業経営を実践したという。
氏は多摩の各地に酪農を広げることにも尽力したことから、由木は多摩地区の酪農発祥の地といわれているらしい。下柚木の永林寺には八十二才の甫三郎氏（松涛は号）の書による牛魂碑が由木村搾乳者一同によって建てられている（昭和二十五年四月八日建之）。
なお隣に建っているのは、八王子市由木農業協同組合養鶏・養豚部会による鶏豚慰霊之碑（昭和四十年九月二十五日）。