宇賀神と紫燈籠
東京都三鷹市井の頭4-1(井の頭弁財天)
「井の頭公園の池でボートに乗ったカップルは別れる」という噂がある。池には弁財天が祀られているので、女神である弁天様がヤキモチを灼くからだという。
その弁財天の正面の階段を上がったところに、弁天様の使いである蛇にぐるぐる巻にされた男の人の像が建っている。と思いきや、これは人の頭に蛇の体をした宇賀神という神様だった。弁財天に縁のある神様で、明和四年(1767)に石鳥居(現存せず)を寄進した講中が記念に建てたものだ。
参道石段の両脇に建つ石燈籠は紫燈籠と呼ばれている。武蔵野で産したムラサキの根からとった染料を使い、井の頭池に発する神田川の水を使って染めた江戸紫は、江戸の町で大変な人気であったらしい。これに感謝して、江戸の紫根問屋や紫染屋らが慶応元年(1865)に寄進したものだ。