小泉八雲記念公園
東京都新宿区大久保1-7-5
ハングル文字の看板が林立する新大久保の、大久保通と職安通りに挟まれた中に、周囲とは明らかに雰囲気の違う小さな公園を見つけた。入り口にはコリント式の柱が二本立ち、その間に架かったアーチには「小泉八雲記念公園」と記されていた。
小泉八雲ことラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)はギリシャのレフカダ島(Lefkada)に生まれた。ラフカディオというミドルネームは、この故郷の名に由来するという。八雲が晩年を大久保に過ごした縁で、新宿区とレフカダ町が友好都市となったことを記念して、旧居跡の近くに造られたのがこの公園だ。
来日した彼が最初に住んだ松江には、国史跡に指定された旧居と記念館があるけれど、実際には新宿に住んだ期間の方が長い。東京では東京帝国大学や早稲田大学に勤め、有名な「怪談」をはじめ日本を海外に紹介する文章を数多く著している。
彼の故郷をイメージしたギリシャ風の意匠や、少年時代を過ごした父の国アイルランドから贈られた由来の銘板などを見ながらぶらぶらとする。「こんな顔でしたかい?」というのっぺらぼうの話や「耳なし芳一」のイメージとはまた違った、明るい地中海を思わせる雰囲気に、改めて日本の良き理解者であった彼の功績に思いを馳せたひとときだった。