2009年9月20日(日)

秋蚕

東京都世田谷区喜多見5-27-14 (次大夫堀公園民家園)

繭

江戸時代から明治・大正の頃まで、養蚕は多摩地区の一大産業だった。多摩の古民家を見学すると、通気を良くするために屋根裏にあけられた窓や、展示されている織機にその名残を見ることができる。

蚕

次大夫堀公園では、今、養蚕そのものが展示されている。

先週来たときには、桑の葉を食べる音がプチプチとひそやかに聞こえていた。以前、養蚕農家で屋根裏いっぱいの蚕を見せてもらったときには、わしわしというその音が、知らなければ製糸工場で操業する機械の音かと思うぐらいに大きく響き渡っていたことを思い出す。

一週間たって再訪すると、もう大半が繭を作り始めていた。細くて真っ白な糸を纏って、きれいにまん丸な繭になっていく。大人になる日を夢みて、永遠に覚めない眠りにつくのかと思うと哀れだ。

係の人にここでつくった生糸を見せてもらった。命の輝きがこめられているかのような、透明でキラキラした輝きに魅せられる。シルクの美しさは、その裏に隠された悲しみ故なのかも知れないと、ふと思った。

秋蚕の説明