大倉山公園梅林
神奈川県横浜市港北区大倉山2-10
東急東横線大倉山駅前の急坂をたくさんの人が登っていく。ぼんやりしていたら転げ落ちそうな急坂だが、誰もが楽しそうに登っていく。みんな春が来たのがうれしいのだ。
大倉山記念館の建つ峠を越えて反対側に少し下ると、谷戸を埋め尽くす満開の梅林が見えてきた。紅白の雛あられを蒔いたような景色が眼下に広がっている。あるいは谷に溜まった春霞か。
たこ焼きやチョコバナナの屋台の間を縫って甘酒のいい匂いがしてきた。桜の花見でお酒を飲むのは大人ばかりだが、梅見の席では子供も甘酒をねだっている。桜よりは、ちょっぴり上品でおとなしい雰囲気があたりを満たしている。
赤い笠が見えるのは野点をしているのだろう。舞台からは箏や尺八の音(ね)が聞こえてくる。名ばかりの「新春」だったお正月から続く和風の気分がここでクライマックスを迎える。改めて「初春のお慶びを申し上げ」たくなる春がやってきた。