2005年6月5日(日)

大倉山記念館

神奈川県横浜市港北区大倉山2-10-1

正面

大倉山記念館の前身は、実業家であり、のちには東洋大学の学長も務めた大倉邦彦が昭和7年(1932)に設立した大倉精神文化研究所だ。その設立の趣旨は、「東西両洋における精神文化の学術的研究を行い、知性並びに道義の高揚を図り、公民生活の向上充実に資し、もって世界文化の進展に貢献する」(同研究所HPより)とあり、凡人には計り知れないという点では、同じ東洋大学つながりの哲学堂公園に通じるものを感じる。

獅子と鷲

本願寺第22世門主・大谷光瑞と建築家・伊東忠太の出会いがあの築地本願寺を生んだように、大倉邦彦は設計者に古典様式に通暁した長野宇平治を得て、プレ・ヘレニズム様式というギリシャ以前の建築様式を用いて氏の宇宙観を見事に表現した。

エントランスホールに漂う東南アジアの遺跡を思わせる怪しい雰囲気は、西洋の知に対する東洋の混沌とした精神世界を「ギリシャ以前」という様式で表現しているのだろうか。白く端正な外観とのギャップに、少したじろぐ。

仰ぎ見ると吹き抜けの上方からは神々しい光が射込み、16体の獅子(百獣の王)と鷲(百禽の王)が天空の神さながらに来訪者を見おろしている。王として見守っているのか、獲物を狙っているのか、一体一体異なったその表情の奥にあるものを探るのも面白い。

横浜市教育委員会の説明板 | 大倉山公園梅林