慶運寺
神奈川県横浜市神奈川区神奈川本町18-2
火事で焼けてしまった浦島寺(観福寿寺)から移されたという浦島観世音が祀られている慶運寺に来た。門前では少しこわい顔の亀がこちらを睨んでいる。亀の背には、「龍宮傳來 浦島觀世音 浦島寺」と書かれた石碑が建ち、台座には文政八年(1825)の銘があった。
亀の背に乗った浦島観音は非公開だが、境内には天明八年(1788)に建てられた浦島父子の名前の彫られた石塔がある。塔には「父 浦島太夫 廟所 子 浦島太良 齢塚 當山在」「淳和天皇 勅願所 古跡」と彫られている。
一説によると、太郎は雄略天皇(在位 456-479)の時代に旅立ち、淳和天皇(在位 823-833)の時代に帰ってきたことになっている。最古の浦島伝説が伝わる丹後(京都)の浦嶋神社(宇良神社)は、淳和天皇の命によって天長二年(825)に創建されたというから、神奈川の浦島伝説が本当であるならば、ここに淳和天皇の名前があっても不思議ではない。
ここでひとまず浦島太郎探しは一段落。それにしても浦島町周辺には、日本全国知らない人はいない浦島太郎に関する伝説が残っているにもかかわらず、全くその気配のない不思議なところだった。