小金井神社
東京都小金井市中町4-7-2
野川公園から上流側の野川沿いは、紅葉がきれいな所だ。人が大勢集まる程の名所はないけれど、それがかえって落ち葉散る季節の感傷にはちょうど良い。
わたしはどちらかと言うと紅葉より黄葉の方が好きなのだが、このコースにはイチョウの名木や並木道がないのがちょっと惜しい。そんな中で、小金井神社にはヒョロヒョロッとしてはいるがなかなか大きなイチョウの木があって、社務所前のモミジと彩りを競っている。
境内の奥に、大量の石臼を山に積んだ石臼塚を見つけた。わたしが物心つく頃には、すでに臼の仕事は機械に取って代わられ、猿蟹合戦で猿を懲らしめるぐらいしか仕事がなくなっていた。それを供養するために、昭和48年(1973)に築かれたものだ。
臼に限らず、囲炉裏ではぜる栗、蜂が隠れる水桶、猿が足を滑らせる牛の糞、猿蟹合戦の世界を今の子供たちが想像するのはなかなか難しそうだ。猿も柿の木に登れば逮捕される時代になった。黄葉を見に行ったのに、そんな別のことに思いを馳せてしんみりとしてしまった。