楠公社の狛犬
神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1(三溪園)
大池の傍らに建つ三溪園天満宮の狛犬は、ちょっとエキセントリックな目をしている。ほかではあまり見ない、外向きにカーブした牙もおもしろい。
阿形の獅子は、その牙の間の前歯が欠けている。振り返って吽形を見ると…、首がない!
古い建物が良く残っている三溪園だが、ここも戦争の被害を免れたわけではなく、いくつかの建物は空襲で焼けている。この狛犬も、その際に破壊されたものだ。戦後半世紀以上を過ぎても修復されることなく、無言のまま「戦争反対」の抗議をしているのだろう。
銘はなく、いつ奉納されたものかはわからないけれど、三溪園が造られた明治時代後期のものかもしれない。国際的な文化の交流があった横浜ならではの顔立ちかな、という感じがする。