2018年6月14日(木)

林芙美子文学碑

広島県尾道市東土堂町20 千光寺公園文学のこみち / 東御所町3 尾道商店街入り口

文学のこみち

私は林芙美子を知らなかった。

30年ほど前に初めて尾道を訪れた時に聞いたその名は、相撲界で言う「江戸の大関より故郷の三段目」に似た、地元だけで知られている有名人かと思っていた。

尾道商店街入り口

当時は大林宣彦監督の映画・尾道三部作(転校生(1982)、時をかける少女(83)、さびしんぼう(85))が話題になったあとで、そのロケ地巡り(今で言う聖地巡礼)の熱も一段落した頃だった。忘れられた(?)二人の名を耳にして、人通りの少ない商店街の景色を寂しく感じたことを思いだす。

2009年に女優の森光子が国民栄誉賞を受賞した時に、長く舞台で放浪記の主役を演じてきたと聞いて、あっ、あの林芙美子か!と思い出した。

いまだに林芙美子のことはよく知らないが、今回の再訪で聞く彼女の名は、以前より近しく耳に響く。「五年振りに見る尾道の海はなつかしい。」と放浪記の一節を引用した文学碑越しに見る尾道水道は、自分には何の縁もないのにひどく懐かしい風景に思えた。

文学のこみちの文学碑碑文