2019年9月26日(木)

坊っちゃん列車

愛媛県松山市 伊予鉄道

坊っちゃん列車

信号待ちをしていたら変な音が聞こえてきた。

機械が軋んでいるようにも聞こえるし、未知の小動物が呻き声をあげているような気もする。想像の範疇に知っている音が見当たらないと不審に思いながらも、信号待ちの車列の陰で回りが見えない。特に気にすることも無いかとぼんやりしていたら、車が動き出して、その陰から坊っちゃん列車が現れた。

伊予鉄道

小説「坊っちゃん」の舞台になった明治の中頃に、実際に市内を走っていた蒸気機関車(SL)をモデルに復刻された観光列車だ。SLの形をしているけれど、さすがに現代の街で煙を吐いては迷惑なのでディーゼルカーになっている。トロリーポールが見えるのは、客車の照明などに使う電気をとるのだろう。

怪獣映画を見ていて、ビルのすぐ後ろで怪獣が暴れているのに平然と街を歩いている人たちを見て、なにやってんだと思う時がある。画面の外から全体を見ている観客にはわかっても、当事者にはわからないことがあるものだ。

不意打ちを食らって、怪獣に襲われることはなかったけれど、カメラが間に合わなかった。どうにかこうにか一枚だけ撮ってほっとした後で、不意に、あれってこういうことだったのかと合点がいった。

ところで最初に聞いた不思議な音だが、正体がわかった後でもなんの(どの部分の)音なのか未だにわからない。

町に埋没する怪獣