今治市庁舎・市民会館・公会堂
愛媛県今治市別宮1-4-1
広場を囲むようにしてコの字型に、丹下健三が設計した建物が建っている。正面に市庁舎本館(1958)、向って左手に市民会館(1965)、右手に公会堂(1958)。本館の後ろに後年(1972)建てられた第1別館も彼の設計だ。
四国の丹下建築としては香川県庁舎(1958、現・県庁舎東館)が有名だが、今治にもあるとは知らなかった。少年時代を今治で暮らした彼の家の、斜向かいに住んでいた中学の先輩が後に市長となり、設計を依頼したのだそうだ。
中央の広場は、元は市民の集うコミュニティー空間(市民広場)を意図して設計されたという。同じ時期に建てられた駒沢公園(芦原義信)や世田谷区民会館(前川國男)にも同じような広場があって市民に憩いの場を提供しているけれど、残念ながら今治の方は駐車場になっていて、設計当初の目的は達成できていないようだ。
丹下健三と広場と言えば、思い出すのは大阪万博(1971)のお祭り広場だ。彼が設計した広場を覆う大屋根に穴をあけて、岡本太郎が「べらぼうな」太陽の塔を建てたことは今も語り草になっている。
目の前を走る国道の歩道部分に設けられた小公園に、造船の町今治を象徴する巨大な船のスクリューのモニュメントが置かれている。もしこのモニュメントを太郎がデザインして広場に置いたらどうなっていただろうか。凡人のわたしにはその景色をイメージできないけれど、なんか面白いかもしれないなと、ふと思った。