平和観音
東京都東村山市秋津町1-4
中学生だったか高校だったかの頃に、アメリカでつくられたベトナム戦争のドキュメンタリーを見たことがある。街頭でのベトナム兵の処刑シーンや、ベトナム人娼婦を相手にする米兵など刺激的なシーンの多い問題作だった。
その中で空爆をするパイロットがインタビューを受けて、「空の上から見ていると、爆撃されている地上の人がどんな様子かなんて全く思い浮かばない」と言うシーンがあった。なんて他人事なんだとその時は思ったけれど、湾岸戦争(1991)の時にミサイル攻撃の様子がTV中継され、それをテレビゲームのように「他人事」で見ている自分に気づいて愕然としたことを思い出す。
先の米兵のインタビューはずっとバストショットで流れていくのだが、番組の最後、「あなたの娘さんが地上にいると想像してみてください」と言われて絶句するところでカメラがズームアウトする。彼は車椅子に座っていて下半身が付随であることがそこで明かされるのだ。
結局、戦争は誰も幸せにはしない。一方的な勝利なんてあり得ないと知らされる。
圧倒的な米国の戦力によってなすすべもなく蹂躙された第二次世界大戦での東京大空襲でも、日本軍の反撃によって撃墜された米軍機はあった。それをざまぁみやがれと嘲らず、丁寧に弔った慰霊碑が東村山に建っている。以前、同じような慰霊碑を青梅に訪ねたことがあるが、奇しくも同じ日に墜落したB-29だった。
戦後75年が経ち平和な世の中になったように思っても、まだ世界には戦争をしている国がいくつもある。戦争放棄を憲法で謳っているはずの日本にも、きな臭い雰囲気が漂い始めている。平和とは何か、われわれはそのために何をすべきなのか、考え続けて行かなければいけないといつも思う。