花子と太郎
東京都品川区大井1-7
海外旅行に行くならフランス、とずっと思っているのに、まだ一度もフランスに行ったことがない。新婚旅行でスイスに行った時、当初申込んでいたパッケージツアーはパリに寄るようになっていたのに、申込人数が足りずにスイスだけのツアーに変更されてしまった。それ以降、機会がないまま今に至っている。
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
以来、この一節から始まる萩原朔太郎の詩(「旅上」純情小曲集所収)を折にふれて思いだし、口ずさんでいる。
大井町の駅前に、朔太郎ゆかりの碑が建っている。短期間だが、彼は大井町に住んでいたことがある。
「まつくろけの猫が二疋」屋根の上で尻尾をピンと立てていると歌われたのは、処女詩集「月に吠える」のなかの「猫」。この像がモチーフにしているという「青猫」には「ああ このおほきな都會の夜にねむれるものは/ただ一疋の青い猫のかげだ」と歌われている。「大井町」と題された散文には猫は出てこない。「花子と太郎」という名前はどこからとったのだろう。
いろいろとちぐはぐな感じがするけれど気にしないことにしよう。
わたしにとっての朔太郎は、同じフランスへ行きたい同志。フランスにはこんな猫がいそうな気がする。