奥多摩大橋
東京都西多摩郡奥多摩町川井 - 梅澤
T字になった吉野街道・梅沢交差点の閉じた側の歩道に立つと、真正面に奥多摩大橋の長三角形の主塔が見える。去年(2019)瀬戸内の島々を巡り、自転車で渡ってきた数多くの橋の想い出が走馬灯を見るようによみがえってくる。
瀬戸内を訪れて、初めて渡った弓削大橋の主塔がこの形だった。そこからゆめしま海道を走り、憧れのしまなみ海道に移って最初の生口橋も同じデザインだった。他にもたくさんの斜張橋を渡ったなかで、主塔が三角形なのはこの二橋だけだった。ほかにもさまざまなデザインや構造の橋を渡ってきたのに、瀬戸内の橋と言うとこの姿が真っ先に思いだされる。
どちらもそれぞれの海道で渡る最初の橋だったこともさることながら、やはりその美しい姿に魅せられたのだろうと思う。奥多摩大橋も無駄のない端正なデザインが美しい。
平成5年(1993)に竣工した奥多摩大橋は主塔一本で支える二径間の斜張橋で、十字に交わる主塔と橋桁、及びそれぞれの交点を境にした上下、左右の長さが黄金比となるように設計されているという。
観光地でもある奥多摩の景観に考慮し、美しさにこだわってデザインされたという、隠れた名橋なのだ。