羽田可動橋
東京都大田区大森南5-2
海老取川の呑川河口側の出口付近に不思議な構造物がある。プラレールで作る橋の部品のようなものが二本、川とほぼ平行に並んでいるのだが、両側は切れていて橋の形にはなっていない。かと言って工事中という様子もなく、現時点ではこれで完結しているようだ。
首都高羽田線から分岐した高架道路が川岸まで延びて、海老取川を越えようとしているのに、意地悪をしてそっぽを向いているような景色だ。
これは首都高の羽田トンネルでの交通渋滞を緩和するために平成2年(1990)に作られた迂回路で、橋を使用しない時には、海老取川を航行する船を通すために橋桁が回転して分割されるようになっている。
その後、羽田空港および浮島、扇島、大黒ふ頭を通って横浜へつながる首都高湾岸線が開通したために羽田トンネルの渋滞が解消され、平成10年(1998)以降は利用されなくなってしまった。
使われなくなった可動橋と言って頭に浮かぶのは隅田川に架かる勝鬨橋。あちらはもう半世紀以上も閉じたまま、一般の橋として第二の人生(橋生?)を送っている。一方こちらは開いたまま、いつ来るともわからない出番を待ち続けているが、おそらくその機会はもう無いのではないだろうか。
なんだか、ちょっと、悲しい。