羽田の空に飛行機がとんだ / 馬込文士村
東京都大田区池上1-32-8 池上会館
チロルハットにトンボがとまった。…と思ったのだが、リベットを打ったような縫い目があるからこれはヘルメットかな?。いや、帽子のつばに見えるところは、たくさんの船が浮かんだ川のようになっているぞ。
作品のタイトルは「羽田の空に飛行機がとんだ」。ますますなんだかわからなくなってきた。
もう一つの作品は「馬込文士村」。展望台から見える景色は馬込方面とは反対側だけれど、大正から昭和の初めにかけて多くの文筆家や芸術家たちが住んでいた文士村をイメージした作品だ。
椅子の上には読みかけの本が開いたまま置いてあったり、積んであったり。文士たちは麻雀カフェやダンスホールに集って交流していたというから、そうして不在になった書斎を表現しているのだろうか。あっちこっちを向いた椅子たちがダンスをしているようにも見える。
仲間から外れて転がり落ちそうな椅子は、恋の鞘当てに敗れてダンスの輪から脱落した、かわいそうな誰かかもしれない。
どちらも藤原吉志子の平成8年(1996)の作品。