2015年12月10日(木)

馬込文士村

東京都大田区山王2-8-1 馬込文士村 散策のみち

文士たち

今年(2015)の文学界一番のニュースは、お笑いタレント又吉直樹(ピース)が書いた「火花」の芥川賞受賞だろう。そもそもタレント(talent)という言葉は「才能」という意味だから、本の一冊ぐらい書いても不思議はないかもしれないが、やっぱり何となく違和感を感じた人は多かったんじゃないだろうか。

尾ア士郎と宇野千代

昔は小説家のことを「文士」といった。「文士さま」なんていう言い方もあって、何か偉そうな存在に思われていた時代もあったことを思えば、ずいぶんと様変わりしたものだ。

JR大森駅前にある天祖神社の高台へ上がっていく道(八景坂)は、「馬込文士村 散策のみち」と呼ばれている。「馬込文士村」とは、大正から昭和の初めにかけて現在の大田区馬込・山王周辺に小説家や芸術家たちが集まり住んでいたことからつけられた名前だ。

道沿いに設置されたレリーフには、当時の文士たちの交流の様子が紹介されている。麻雀、ダンスパーティー、相撲大会など、今ならゲーム、クラブにフットサルといった感じだろうか。「文士」といっても難しい顔をして机に向かい、丸めた原稿用紙で四畳半の書斎を一杯にしているみたいなことはなく、普通に遊んでおもしろおかしく暮らしていた若者たちだったようだ。そう思うと、少し安心した気持ちになった。

馬込文士村 散策のみち | 八景坂