「あゝ上野駅」歌碑
東京都台東区東上野7-1 JR上野駅広小路口前
歌碑の写真を撮ろうと思ったら、その前にずっと座り込んでいる男性がいた。勝手な想像をしては失礼だが、行くあてもなく日がな一日をこのあたりで過ごしているように見える。もしかしたら、かつて金の卵ともてはやされて地方から出てきた方かもしれない。
彼を避けて数枚撮ったところに若い女性のグループがどやどやとやって来た。もう一枚撮ろうかと構えたこちらに頓着することもなく、歌碑の横に立ちイェーとポーズをとって写真を取り合っている。
たぶん彼女たちはこの歌碑の意味も集団就職という歴史も知らず、SLの姿だけに反応しているのだろう。
あなたたちがそんな風に主役気取りで今を謳歌できるのも、ここに記された人たちが日本の高度成長を支えてくれたからなんだよ、などと説教めいた思いが湧いてくるが口にするのはやめておこう。時代はどんどん移っていくのだ。
ちなみに、歌碑の右上に描かれた「18」という数字は集団就職列車専用ホームの番号で今は欠番になっている、という豆知識を高校の同級生が先日TV(※)で披露していた。専用ホームができるほどたくさんの人が上野に降り立ったとは知らなかった。
形は違うけれど、今も多くの若者が地方から東京へやってくる。彼らに、日本の未来をよろしくと託したい。
※ 「林修のニッポンドリル 学者と巡るJR山手線」 2022年11月30日放送、フジテレビ