2024年3月17日(日)

月まで3km

静岡県浜松市天竜区船明 国道152号-県道360号 分岐

標識

子どもの頃は宇宙旅行に行きたかった。

アポロ11号が人類初の月面着陸を果したのが1969年7月20日。わたしは小学校6年生だった。鉄腕アトムもウルトラ警備隊も当たり前のように宇宙を行き来していたように、いつか宇宙旅行は特別なものではなくなると思っていた。

船明隧道

ところが1972年のアポロ17号を最後に、その後月まで行った人は誰もいない。あれから50年以上が経つけれど、無人機ですら月に到達したものは数例しかない。

わたしもおとなになり、無邪気な憧れだけでは宇宙へ行けないとわかって、宇宙旅行熱は冷めていった…。

遠い存在だと思っていた月まで3kmで行ける。

この案内標識を見て、子どもの頃のわくわくした思い出がよみがえってきた。となりに口を開けた丸太をくりぬいたようなデザインのトンネル(船明隧道)は、さらに遠く宇宙の果てまで行けるワープゾーンの入口かもしれない。わたしは閉所恐怖症なので狭い宇宙船に閉じ込められるのはごめんだが、自転車ならどこまでも行ける。

自分が月まで行ける日が来るなんて想像もしていなかった。そしてその月が宇宙にあるものでなくても行ってみたいと思うなんて、あの頃のわたしは考えもしなかったはずだ。そういう心境の変化をもたらしたものは何だったのか。

いろいろなことがあった人生だったなと、ふと思った。

アポロの時代