2024年6月24日(月)

浪板海岸

岩手県上閉伊郡大槌町浪板海岸 三陸花ホテルはまぎく

峠

宿泊したホテルは浪板海岸のすぐ目の前にあった。すばらしいオーシャンビューで早起きをすれば日の出も拝めたはずだったけれど、あまりに近すぎて波の音がうるさいほどだった。

でもあの日の波の音は、こんなものではなかっただろう。

浪板海岸

東日本大震災でホテルは3階にまで達する津波に襲われた。宿泊客は従業員の適切な避難誘導により助かったが、安全確認のため現場に残った社長ら数名が犠牲になってしまった。

ホテルを出て国道を南へ200mほど上がったところに「ここまで(ここから)過去の津波浸水区間」「海抜22m」と書かれた標識が立っていた。その前には「津波到達の地」と刻まれた碑。宮沢賢治の詩碑も建っている。

ホテルの人たちは着の身着のままでここまで避難してきたという。さらに300mほど進むともう次の津波浸水区間が現れる。ここは津波の海にわずかに頭を出したぎりぎりの場所だったのだ。

震災前にお泊りになった天皇陛下(現上皇)が海岸に咲いていたハマギクを愛でられたという。ハマギクの花ことばは「逆境に立ち向かう」。再建したホテルはその花の名を冠して営業を再開した。震災の傷跡を感じさせないすてきな宿だった。

ハマギクが咲くころ、また来てみたい。

大槌町商工観光課の案内板 | 「暁穹への嫉妬」詩碑