曲亭馬琴誕生の地
東京都江東区平野1-2-3 深川ふれあいセンター前
子どもの頃、NHKの連続人形劇「新八犬伝」(※)を夢中で見た憶えがある。「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」それぞれの一字が浮き出る珠を持つ八人(匹)の犬(剣)士が、怨霊や妖怪相手に戦いを繰り広げる冒険活劇だった。
仇討ちや怨霊との戦いなど、そのままでは古臭く感じるような一昔前の価値観が垣間見える物語に坂本九の講談調のナレーションがマッチして、「テレビやラジオがなかった昔は、こんな風に物語を楽しんでいたのかもしれない」と追体験しているような感じがおもしろかった。
原作となった曲亭馬琴の戯作本「南総里見八犬伝」は全106冊の大作で、その全巻を積み上げたイメージのモニュメントが深川ふれあいセンター前に置かれている。ここは作者生誕の地なのだそうだ。
傍らの解説に添えられた図は、「敵将の首を取ってきたら娘を嫁にやる」と飼い犬の八房に安易な約束をしてしまった房州館山城主・里見義実が、その約束を果して敵将を討ち娘・伏姫にまとわりつく八房を槍で追い払おうとするシーンだと思われる。ここから物語は始まり、八房の体内に宿っていた怨霊・玉梓(たまずさ)と各地に飛び散った伏姫の数珠を持つ八犬士の因縁の戦いが繰り広げられることになるのだが、それはまた別のところで。
※ 昭和48年(1973)4月 〜 昭和50年(1975)3月、全464話