2011年4月2日(土)

ママ下湧水のコブシ

東京都国立市谷保6312(滝乃川学園)

歩道

何年か前に甲州街道矢川三丁目交差点から四谷大橋へアプローチする道路ができて、のどかだったママ下湧水周辺の景色は一変してしまった。工事の影響が心配されたコブシの木は、伐採を逃れ、場所を移して今年もたくさんの花を咲かせている。

コブシ

われわれは古い景色が失われることを嫌う傾向があるけれど、その景色も、その前の景色を壊してきた結果なのだということにふと思い至る。「自然を壊すな」「開発をやめろ」と声高に叫んでは見るけれど、少しの停電にもおろおろし、車に乗れなくなると途方に暮れるわれわれは、たかだか10年前にだってもう戻ることはできないのだ。

次から次へと開発を繰り返す人間の暮らしを、温かく見守っているのか、ヤレヤレと思っているのかはわからないけれど、今までもこれからも変わらず、コブシの木は春を告げる花を咲かせ続けていくのだろう。同じ土地に住む仲間として、こうして一緒に春を迎えられる日がいつまでも続くことを願っている。

ママ下湧水