シクラメンゆかりの里
東京都大田区中馬込3-19-13(宮ノ下児童公園)
クリスマスの季節になると、真っ赤なシクラメンやポインセチアの鉢植えが、街の賑わいに彩りを添えてくれる。ところが、不思議なことに布施明のヒット曲「シクラメンのかほり」(作詞・作曲:小椋佳)には赤いシクラメンが出てこない。歌われているのは「真綿色」「薄紅色」「薄紫」の三色だ。
この歌の発表当時(1975)には、まだ薄紫色のシクラメンは無かったそうだ。ほかにも、「シクラメンには香りがない」「香りは本来『かをり』であって『かほり』ではない」などの間違いが指摘されているが、これらは作詞者が意図的に仕掛けたいたずらであるらしい。これはシクラメンの歌ではなく、佳穂里(かほり)さんという作詞者の妻への賛歌であるという説もあるそうだ。
そのシクラメンの産地が馬込にある。児童公園に建つ記念碑によれば、数々の賞を受賞した全国でも有数の産地であるらしい。とは言っても、いくつかの大きな温室が住宅街のなかにポツンポツンとある程度。富良野のラベンダー畑レベルを期待するのはムリとしても、ちょっと寂しい。記念碑の向かいにあるシクラメン園を覗いてみたけれど、鉢植えを買わずに写真だけというわけにはいかなそうだったので、垣根の外からちらりと拝んだだけで引き上げてきた。