隅田川神社の亀
東京都墨田区堤通2-17-1
「鶴は千年、亀は万年」と言って、鶴亀の意匠が長寿を願う縁起物として広く用いられているのはご存じの通り。そこで描かれる亀のしっぽには、どういうワケかフサフサとした毛が生えている。
これまでは、一万年も生きていれば村の長老のような立派なヒゲが(場所は違うけれど)生えてもおかしくはないだろう、ぐらいに軽く考えていたのだが、少し気になって調べてみるとこういう亀は実在するらしい。
「ミノガメ(蓑亀)」と呼ばれているが、固有種ではなく、亀の甲羅に藻や苔がついて毛が生えたように見えるものを指すそうだ。一朝一夕で成るようなことではないので、長寿を象徴する縁起物とされている。
白鬚橋の墨田区側にある墨田川神社(水神社)の神使は亀。しっぽにフサフサと毛の生えた亀が二匹、狛犬然として参道を護っている。のろまな亀にお役目が務まるものか、と思うなかれ。鋭い爪と鋸のような牙を持ったなかなかの強面だ。