浮間ヶ原桜草圃場(浮間桜草園)
東京都北区浮間2-30 都立浮間公園内
紅しだれがきれいに咲いている。シダレザクラを中心に円を描いて整備された花壇にはまだ緑が目立つ。桜草の見頃には、まだ少し早かったようだ。
桜草を見に来たはずの人たちが、皆、シダレザクラにカメラを向けている。ちょっと残念ではあるけれど、シダレザクラも悪くはない。桜が散る頃、サクラソウの方が見頃になってくるのだろう。今は、白い品種(浮間白)がピンクの品種よりやや多めに花を開いている。
どこの公園にもありそうな普通の花壇に見えるけれど、咲いているのは園芸品種ではなく、かつてこの周辺に自生していた野生種を保存のために育成しているものだ。
江戸時代には荒川沿いにいくつもの群落があり、大勢の花見客を集めていたサクラソウも、開発の波に押されて自生地はさいたま市桜区の田島ヶ原だけになってしまった。浮間地区では昭和30年代から保存のための取り組みが続けられ、往時の華やぎを取り戻しつつある。毎年開かれるさくら草祭りは今年で48回を数えるまでになった。
隣接する氷川神社には、桜草保存の取り組みの歴史を伝える記念碑が建っている。