雨乞弥勒
東京都三鷹市上連雀7-26-26 井口院
強面の仁王像に迎えられて井口院の山門をくぐると、正面に高い台の上に載った石仏があった。傍らの説明板には「雨乞弥勒」とある。雨乞いといえば「滝」や「龍(水神)」が思い浮かぶけれど、ここには滝はおろか流水も池もなく、弥勒菩薩というのも珍しい。
説明板に寄れば、かつては「遠く秩父・川越方面からも雨乞祈願に」来るほど有名であったらしい。秩父の山なら雨乞いをする滝には事欠かないように思うけれど、ググってみたら秩父では「雨乞いの滝」がヒットしなかった。なるほど、そういうものか。
目の前の連尺通を200mほど西に行った所にある大鷲神社の由緒書きに寄れば、江戸時代半ばから明治時代にかけて周辺は宿場町として栄えていたという。雨乞弥勒だけのために宿場が賑わったとは思わないけれど、旅の途中に雨乞いに立ち寄った人もいたことだろう。旅人にとって雨は招かれざる客であるけれど、故郷の田畑のためには欠かせない寄り道だったはずだ。