2013年4月17日(水)

数馬隧道

東京都西多摩郡奥多摩町白丸

南側

奥多摩湖へと向かう青梅街道は、鳩ノ巣渓谷を過ぎるとトンネルの連続となる。トンネル内は暗くて狭い上に、路肩は落石や地下水で荒れているので自転車は走りにくい。JR奥多摩駅より手前の区間では谷側を巻く旧道が残っているのでそちらを通ることにした。

北側

白丸トンネルの旧道側は、大正12年(1923)に開通した素堀のトンネル(数馬隧道)を抜けていく。隧道の内側には荒々しい鑿の跡が刻まれている。穿たれた岩盤は険しく、よくぞ堀抜いたものだと感心する。

右写真右隅に見える石段を登ってみると、沢沿いに鉄ばしごが掛けられ、その上にさらに以前の古道が見えた。この道には元禄時代に開かれた切通し(数馬の切通し)が残っている。隧道の奥多摩側(左写真)から見上げると、切通しを抜けた道が岩壁にへばりつくように通っているのが見えた。

さらにその昔には、人々は尾根の高みを苦労して越えて行ったのだろう。少しずつ岩を切り開き、まさに「岩をも通す」信念と努力によって先人たちは道を開いていった。この先に行きたい。この先にいるあの人に会いたい、この先にあるあれが欲しい。

交通の歴史は、人の思いの歴史でもある。