2013年5月21日(火)

柳原水閘

千葉県松戸市下矢切地先 柳原排水機場内

水門

ヨーロッパの石造建築の美しさ、力強さ、長年の風雪に耐える構造の見事さには目を見張る。もちろん他の国にも石造建築はある。古代インカにはカミソリの刃も差し込むことができない程にぴったりと石を組み合わせて積む技術があったと言われているけれど、ヨーロッパの建築には他と決定的に違う要素がある。

アーチ

それは、アーチだ。

重く角張った石を積み上げてつくる無骨さを、アーチがもたらす優美な曲線が取り払う。ドームの下の広々とした空間に身を置いて天井を見上げると、石の壁を軽々と空に浮かせた先人の技に驚くと共に、それを支えた神の力の偉大さ崇高さに胸を打たれる。

日本では、主にアーチ橋として多くの例をみることができる。中でも二連のアーチは時に「眼鏡橋」と呼ばれて愛され、旅や散歩に人気の訪問先だ。

松戸市と市川市の境にある柳原水閘は四連のアーチが美しい。美しいものを造ろうとしてアーチを選んだわけではなく、結果的にこういう形になったのだろうけれど、役目を終えた後も残され、今もこうして見られることがうれしい。

松戸市の説明板