2013年6月10日(月)

宮古港

岩手県宮古市光岸地4-40 漁協ビル

宮古港

昨日宮古に着いて、ちょっと海を見ようとホテルを出たのだが、四方に山が見えて海の方角がわからなかった。なるほど、これが三陸のリアス海岸(※)というものか、この山に挟まれた狭い場所に津波が押し寄せたら堪らないな、と思うと寒気がした。

改めて方角を確認して、朝、港まで歩いてみた。

漁協ビルから

宮古駅前の岩手銀行の前には「津波到達地」の碑。少し歩くと、電信柱に「津波到達地点 1m50cm」と書いた紙が貼ってある。並んでいる家は古く、建て替えた形跡がないので無事だったんだなと安心していると、その合間に家の土台だけが残る空き地が隠れているのを見つけてハッとする。

避難誘導の指示に従って漁協ビルの高台に上ってみた。向かいに見える月山に薄い雲がたなびいている。宮古湾は凪いで朝の海はまだ眠っているようだ。あの日が嘘だったかのように静かで安らかな光景が眼下に広がっている。そのギャップに戸惑い、心は千々に乱れる。

自然界の長い長い歴史の中で見れば、震災は神の摂理が引き起こす数あるイベントの中の一つ、ほんの一瞬の出来事かもしれないけれど、人間にとってその影響はあまりに大きい。われわれはその事実に驚き悲しみ深く傷ついて空を見上げる。

神よ、これがあなたの御意志なのですか。

※ 正確には宮古から北は海岸段丘、南をリアス海岸という

漁協の前に建つ「石川啄木寄港の碑」