百尋の滝
東京都西多摩郡奥多摩町氷川(川乗谷)
美しい。
シルクのウエディングドレスをまとった花嫁の後ろ姿のような、柔らかく優美で清楚な姿。深山幽谷の神秘的なイメージも重なって、言葉もなく見惚れて立ち尽くす。
…というのは、高さ30mほどの大滝の全体をカメラに収めるために離れたところから見た印象。滝に近づくと、そのイメージはがらりと変わる。
滝壺の周りでは、降りしきる滝の水が霧となってあたりを覆い尽くしている。業務用の冷凍庫を開けたら真っ白な冷気がどっと押し寄せてきた、というような景色。その冷気が渦を巻き、滝壺の表面は波立って嵐のようだ。龍が咆えるようなゴウゴウという音が岩壁に反射して轟いている。
晴れた空の下でびしょびしょになりながら、滝を表現する漢字「瀑」が「爆」や「暴」に似ているのはこういうわけか、と、今さらながらに思うのだった。
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