2013年9月18日(水)

馬魂碑

東京都世田谷区下馬2-38

馬魂碑

都営下馬住宅にある公園の片隅に、「馬魂碑」と書かれた大きな碑(昭和14年)と「軍馬梨山號」の碑(昭和11年)、そして柵際に追いやられて馬頭観音碑が建っている。「下馬」という地名に直接の関係はないけれど、かつてここにあった陸軍野砲兵第一聯隊に所属していた軍馬の慰霊碑だ。

軍馬梨山號慰霊碑

軍馬といえば、立派な髭をたくわえた将兵が戦国時代の武将さながらに颯爽と馬に乗っている姿、たとえば北の丸公園にある北白川宮能久親王騎馬像や上野公園の小松宮彰仁親王騎馬像が思い浮かぶけれど、ここに祀られている馬の多くは大砲などの武器や食料を運ぶ荷役に従事していた縁の下の力持ちたちだ。戦場で斃れたもの、それ以前に内地での訓練中に命を落としたもの、戦死、病死、その運命も様々だっただろう。

馬魂碑の碑文には、軍馬は生死を共にする戦友である、と記されている。もちろんその内容は字義通りなのだろうけれど、一個の人間としての人格を与えられず、将棋の駒のように消費され牛馬と同じような扱いを受けた兵士たちの思いがその後ろに隠れている、と考えては穿ちすぎだろうか。

碑 文 || 野砲兵第一聯隊兵舎跡 | 陸軍騎兵第一聯隊の「馬神碑」