東京都戦没者霊苑
東京都文京区春日1-14-4
北側の春日通り側の門から入り、自転車を置いて、はて、困った。私はどこへ行けばいいのだろうか。
とりあえず脇にある建物に入ってみる。二階の遺品展示室には戦場に散った兵士たちの遺品や遺族の思い出の品などが展示してある。それも重要ではあるけれど、この霊苑のメインではないはずだ。
どうやら入口を間違えたらしい。礫川公園側からはいり、正面の鎮魂の碑に向かうのが正しい導線であったようだ。それに気づくまでにずいぶんと時間がかかった。
都の施設として、仏像や礼拝堂を持たない無宗教の施設としたことが、わかりにくさの原因なのだろう。苑内は神殿の遺跡や墓碑を思わせるコンクリートの壁が林立する抽象的な空間になっている。戦没者の霊を慰める祈りの場ではあるけれど、私はどこに立って何に祈ればいいのか。小さな鎮魂の碑にそれを受け止める任は重すぎる感じがした。
先日相模原で跡地を訪ねた陸軍工科/兵器学校の前身はこの地にあったという。陸軍砲兵工科/工科学校跡を示す諸工伝習所跡記念碑は、霊苑の外、礫川公園との境の奥まった場所にひっそりと佇んでいた。