浅草の藤棚
東京都台東区浅草2-7(初音小路)/4-17-1(曙湯)
フジを花を愛でるものとして意識した最初の経験は、30年以上前、出張先でオフの日に訪れた唐津城で見たフジの花だった。それまでは、藤棚には日除けの役割しかないと思っていたのだ。
今日は浅草名物のフジを見に行ったのだけれど、残念ながら花はもう終わり。緑の屋根におおわれた初音小路の景色を見て、花に興味がなかった頃のことを思い出した。
「浅草名物」と書いたけれど、そう思って初音小路へフジを見に行く人は少ないかもしれない。場外馬券場(WINS)の目の前にあるので、競馬を楽しむ人たちが昼間っから藤棚の下で酒を飲んでいて、一般人には近寄りがたい雰囲気が漂っている。
初音小路から北へ500mほど行った所にある曙湯は、千鳥破風と唐破風を重ねた見事な銭湯建築を立派な藤棚が飾っている。残っていた花はわずかだったが、これが満開ならさぞかし素敵な眺めだったに違いない。舞妓さんの髪を飾る藤の花かんざしのイメージがふと浮かんだ。
花時を見極めて、是非、再訪したい。