C11254
福島県南会津郡南会津町田島字西番場甲358-3 会津田島駅
会津田島駅前に静態保存されているC11は、いつも見慣れているSLとはちょっと変わった姿をしている。蒸気機関車の前部、煙突の両側にあるデフレクター(除煙板)の下部が切られて宙に浮いているように見えるのだ。
これは門司鉄道管理局式デフレクター、通称門デフと呼ばれる型式で九州のSLに多い形なのだそうだ。このC11254は昭和48年(1973)に会津線に配備される前の30年近くを九州で過ごしてきた。
南国九州から国内有数の豪雪地帯に配転になって、このSLはどんな気持ちだったのだろうか。
私の本棚にある古い雑誌に、雪の中を走る只見線の写真があった。全面真っ白な雪景色のなかに埋もれて身動きできないんじゃないかと思うような状態で、それでも頑張ってSLがもがいている。会津線の状況も、きっと似たようなものだったことだろう。
車体はよく手入れされて黒光りしている。もし口がきけるなら 「しばれて泣きたくなるような日もあったけど、今となってはイイ思い出だよ」 そんな思い出話を聞かせてくれるだろうか。
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