黄色い「南瓜」
香川県香川郡直島町琴弾地
名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ (「椰子の実」島崎藤村)
椰子の実ではないけれど、この「南瓜」(草間彌生)は実際に海に流れたことがあるそうだ。台風で流されて漁船に拾われたのだとベネッセのアートツアーで聞いた。
今はそういうことがないように桟橋に固定されているけれど、その佇まいは「またどこかに行きたいなぁ」と言っているかのように見える。
最初に見たときにはパパイアかなにか、南国のフルーツかと思った。それで島崎藤村の詩が頭に浮かんできたのだった。黒い水玉模様に覆われた毒々しい感じも、南国っぽい。
芸術作品なのだから何色に塗られていようと構わないのだが、ちょっと気になって検索してみたら実際に黄色いカボチャが見つかった。2002年に品種登録された「コリンキー」という種類で、この南瓜と同じように縦長な形をしていて、生のままサラダなどにして食べられるのだそうだ。作品が制作されたのは1994年だから関係ないことはいうまでもないが、フルーツっぽいと思った第一印象はあながち間違いでもなかったのかもしれない。
※ 2021年8月9日の台風9号に伴う強風で波にさらわれ三つに割れてしまいましたが、翌2022年10月4日に復元・再展示されました。