家プロジェクト「石職人の家跡」
岡山県岡山市東区犬島
どこかで見たことのある作風だなぁ、と思ったら、作者の淺井裕介はコガネイの地上絵プロジェクトにも参加している人だった。そう思ってみると、断然親近感が湧く。今日見た中で一番いい作品に思えてくる。
作品名は「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」(2013)。
どこかの遺蹟から掘り出されたような、神秘的で温かい、生きとし生けるもの全てを賛美する雰囲気があふれている。
犬島は古くから花崗岩の産地として知られ、その石は鎌倉八幡宮の大鳥居や各地の城の石垣などに使われているそうだ。大阪城の石垣に使われている大きな石は瀬戸内海の島から運ばれてきたと聞いていたが、その島のひとつが犬島だとは知らなかった。
山から切り出した石を、ここで石職人がいろいろな形に加工したのだろう。石職人があてる鑿が、石の中に眠る太古の昔の夢の記憶を呼び覚ましたのだろうか。石が問わず語りに語り出した物語を聞き取って、それを絵にしたらこんな作品になった。そんな風にも思える。