吉祥寺の虎
東京都文京区本駒込3-19-17 吉祥寺
この虎は怖い。
虎が恐ろしいのは当たり前とはいえ、この像には虎を越えた怖さがある。
頭がツルツルで耳が小さいので、角度によっては人間の顔に見える。たとえば六平(むさか)直政あたりが演じるやくざの親分が凄んでいるような、そんな迫力があると思うのはわたしだけだろうか。
吉祥寺にはかつて栴檀林と呼ばれる僧侶の養成機関があった。二頭の虎が守っているのはその図書収蔵庫である経蔵だ。学僧が厳しい修行をする「虎の穴」だったのかな、なんて、まさかね。
虎は毘沙門天の神使とされている。その毘沙門天の奥様が吉祥天。その縁でここに奉納されたのだろうか。
ちなみに、七福神の紅一点は昔は吉祥天だったという話がある。それを、弁財天が毘沙門天に横恋慕して吉祥天を追い出したというのだ。そんな嫉妬深い弁財天が祀られている池でボートに乗ったカップルは別れるという都市伝説がある井の頭公園が吉祥寺にあるのも何かの縁かな。
台座には弘化四年(1847)に奉納されたと刻まれていた。